滋賀県立聴覚障害者センターは、聴覚に障害のある人のために、
手話通訳、要約筆記、聴覚障害者向けビデオの制作と貸し出し、聴力相談、生活相談を行い、必要とする情報を提供し、健常者と共に協働し社会参加がしていけるよう支援を行う聴覚障害者情報提供施設です。
理 念
聴覚障害者福祉の拠点施設として
はじめに
滋賀県の南部に位置する草津市は、琵琶湖に面し、湖を挟んで向かいには比叡山が見渡せる町、または古くは、東海道五十二番目の宿場町として栄えた町です。乗降客数が県内一というJR草津駅から徒歩10分のところに滋賀県立聴覚障害者センターがあります。この地はかって県立聾話学校の校舎があり、その後に、現センターの前身である『ろうあ者福祉会館』が県内の聴覚障害者の福祉や運動の拠点として活動した場所でもあり、県内の聴覚障害児・者にとって大変ゆかりのある場所です。
センターの玄関には、聴覚障害者の職人が製作した信楽焼き“アイラブ狸”や、道場ばりの彫刻の看板が、また、フロアーには個展にも出展されたことのあるろう学校の先生の写真や、高齢の聴覚障害者が描いた、ろうあ者福祉会館の当時の風景画が飾られているなど、施設には数々の聴覚障害者の熱い思いが込められています。
1990年(平成2年)に身体障害者福祉法一部改正に伴い、視聴覚障害者情報提供施設が法制化され、当センターは、県内の聴覚障害者とその関係者の長年に及ぶ粘り強い運動によって、1995年10月1日(全国で11番目、近畿で2番目)に開所しました。以来、県内の聴覚障害者福祉の拠点施設として、聴覚障害者やその関係者の願いに応え、幅広い県民に利用される施設を目指して様々な事業をすすめています。
関係者の願いの集大成
聞こえない、話せない、また聞こえにくいと言う障害を抱え、社会から孤立したり阻害されがちな聴覚障害者の権利の回復や、社会参加の拡大を願い、「完全参加と平等」を掲げた国際障害者年(1981年)を契機として、公共施設の建設の機運が高まりました。その主体は言うまでもなく、聴覚障害者団体、その家族、また手話通訳や要約筆記活動者などの活動者が中心でした。その運動は14年間にも及び、広範な県民の合意や行政の理解を求める運動、また、手話通訳者の労災認定運動ともあいまって展開しました。県では関係者の切実な声に応えて実態調査の実施や聴覚障害者などの代表も含めた検討委員会を設置、一方、聴覚障害者団体は独自に建設委員会を組織し、街頭募金活動や学習会、ニュースの発行、マスコミへのアピールをすすめ、数多くの団体や個人からの募金や励ましを受けて運動が繰り広げられました。
これらの運動によって、総合的な聴覚障害者福祉の拠点として聴覚障害者センター、また、聴覚障害者自身が参画して運営する『社会福祉法人』が創設されました。これは、聴覚障害者の社会自立に一つの到達点でもあり、聴覚障害者とその関係者の暮らしと要求を運動と正しく連携させることによって、地域生活を支援する開拓的、先進的な事業を切り開くことを可能にしたのです。
聴覚障害者の社会的自立を目指して
県内には3,800人の聴覚障害者(身体障害者手帳交付者数)が生活しています。聴覚障害者やその家族が、地域や職場でどんな願いを持ち、どんな支援を求めているのでしょうか。
平成3年に滋賀県が実施した生活実態調査では、障害者のために様々な困難や悩みを抱えていること、行政の支援や社会参加の機会の保障などが不十分であることが明らかとなりました。例えば、日常生活で困っていることでは、「病院で症状がうまく伝わらない。」(40.8%)、「高齢化に対する施策の充実が必要」(37.7%)「近所との交流が少なく町内の行事に参加しにくい」(26.5%)「病気や火事などの緊急時の連絡を取る方法がなく心配だ」(24.5%)「身体的なハンディで就職できない」(17.8%)「役所に行っても用事を理解してもらえない」(10.8%)「職場での意思疎通がうまくいかず仕事に支障がある」(9.3%)―いずれも複数回答-など、聴覚障害者に対する社会的理解の浸透、行政の決め細やかな施策と関係機関の連携、社会参加を勧める住民の支援の広がりなどが求められていることがわかりました。センター事業の目的は障害のために必要なサービスの提供を行うと共に、それらの人たちをサポートしていく行政や関係機関、また住民などの願いや期待に応えた事業も重要となっています。
センターは年間のべ1万人の利用者があり、生活相談や手話通訳の派遣など各種の事業のほか、聴覚障害者やボランティア団体への支援、手話や聴覚障害者問題を学ぶ人たちへの啓発、聴覚障害者のための共同作業所の運営(社会福祉法人)など、総合的な施設作りを目指して事業に取り組んでいます。聴覚障害者の暮らしやコミュニケーションなどの支援を行う社会資源のネットワークの促進や高齢者が労働や余暇を楽しめる場の提供や聞こえの相談の充実、重複重度の聴覚障害者の労働や生活の場の提供など、まだまだ、多くの課題が山積みしています。センターを支える多くの人たちと共に、利用者や住民の願いに応えられる聴覚障害者福祉の拠点として、今後の発展が求められています。
センター沿革
- 平成3年
- 滋賀県聴覚障害者福祉対策基礎調査の実施
- 平成4年
- 滋賀県聴覚障害者情報提供施設整備検討員会設置
(滋賀県聴覚障害者情報提供施設基本構造の取り纏め)
- 平成5年
- 実施設計(設計管理滋賀県土木部建築課)
- 平成6年12月27日
- 建設工事着工
- 平成7年3月31日
- 社会福祉法人滋賀県聴覚障害者福祉協会設立認可
- 平成7年4月1日
- 滋賀県聴覚障害者情報提供施設開設準備室設置
- 平成7年7月3日
- 滋賀県立聴覚障害者センターの設置および管理に関する条例の公布
(施設名称の正式決定)
- 平成7年9月4日
- 建設工事完工
- 平成7年10月1日
- 運営開始
- 平成18年4月1日
- 指定管理者に社会福祉法人滋賀県聴覚障害者福祉協会 法人概要はこちら
建物の案内
当センターへ車でお越しになされる場合、当センター前の一方通行の道にお気を付けください。
【設備】
磁気誘導ループ
研修室、会議室に磁気誘導ループを完備しているため、聴覚障害者の方でも安心してご利用いただけます。
非常文字掲示板
普段は時計として機能していますが、緊急事態や災害発生時にはフラッシュが点滅し、状況や避難指示を表示します。
- 施設の種類
- 視聴覚障害者情報提供施設(身体障害者福祉法第34条) 滋賀県では聴覚障害者情報提供施設として単独設置
- 設置の主体
- 滋賀県
- 運営の主体
- 社会福祉法人滋賀県聴覚障害者福祉協会
- 規模
- 敷地面積690.14㎡
- 延床
- 868.48㎡
- 建築の構造
- 鉄筋コンクリート造 2階建
部屋のご利用案内
会議、研修等で会場が必要な場合、部屋の貸出を行っております。当センターの会議室・研修室をご利用ください。
研修室
利用人数:60名まで
設備:磁気誘導ループ、テレビ、ビデオ、プロジェクター有り
会議室
利用人数:10名まで
設備:磁気誘導ループ、テレビ、ビデオ有り
利用時間
当センターのご利用時間内(月~土曜日 9:30~18:00)に限ります。
休所日(日曜日、祝日、年末年始(12月29日~翌年1月3日)、その他特別に知事が認めた日)にはご利用いただけません。
利用対象者
特に制限はしていませんが、聴覚障害者の利用を優先。
※聴覚障害者および聴覚障害に関する会議や研修などの利用に限ります。
予約方法
2ヶ月前から受付
※ただし、4月は3月(1ヶ月前)から受付
見学について
センターの施設見学を希望の方も受けつけています。
「センター見学受付書」に必要事項をご記入の上、FAXか郵送または窓口に直接提出してください。
【FAX】077-565-6101
【郵送先】〒525-0032 滋賀県草津市大路2丁目11-33 滋賀県立聴覚障害者センター